解体前の石綿事前調査|発注者が受け取る書面と確認する範囲
著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
解体前の石綿事前調査|発注者が受け取る書面と確認する範囲
解体前の石綿事前調査は、解体・改修を行う事業者に規模にかかわらず求められ、発注者は書面説明と調査費用の適正な負担・協力を確認します。調査そのものを行う者と、発注者が受け取る調査結果・説明書面を混同しないことが大切です。建物の規模だけで調査の要否を判断せず、報告や届出の対象となる条件は別の手続として確認します。
ここでは、発注者が工事範囲と照らして受け取る書面、確認する時期、見積へ反映する範囲を整理します。除去方法や材料ごとの個別判断は扱わず、具体的な該当判断は所管窓口または専門家へ確認してください。
石綿事前調査とは
調査の対象と発注者が確認する範囲

石綿障害予防規則第3条第1項は、建築物、工作物、鋼製の船舶の解体または改修を行う事業者に、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査することを求めています。規模による除外はなく、解体・改修の全件が対象です。同条第2項では設計図書等の書面確認と目視による確認を定め、対象となる全ての材料について調査する枠を示しています。
発注者は、調査対象となった建物・工作物の範囲、確認した材料、調査結果を、解体する範囲と照らして確認します。石綿障害予防規則の現行版施行日は2026-04-01、改正公布日は2026-01-20、確認日は2026-09-05です。出典はe-Gov法令検索の石綿障害予防規則です。
調査結果を受け取る前に確認すること
調査者と対象材料を確認する

石綿障害予防規則第3条第4項は、厚生労働大臣が定める者による調査を定めています。資格者による事前調査は、建築物では2023-10-01に施行され、石綿が使用されているおそれが高い17種の特定工作物では2026-01-01に施行されています。工事の対象が建築物か工作物か、対象となる材料や設備がどこにあるかを、調査結果と対応付けて確認します。
厚生労働省「工作物石綿事前調査者」と石綿障害予防規則の現行版を2026-09-05に確認しました。特定工作物以外の工作物では、塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去等の作業に係る調査に資格者要件がかかるため、発注者は対象物の種類を一律に扱わず、工事範囲とともに確認します。
記録・掲示・保存の扱いを確認する
石綿障害予防規則第3条第7項は調査結果の記録を作成し、調査終了日から3年間保存する枠を定めています。同条第8項は作業場への掲示・備付けを定めています。発注者は、調査結果を受け取る日、記録に示される調査対象、工事に反映する範囲を確認し、現場での記録の保管方法を自ら決めるものではありません。
見積の前提にする場合は、結果が確認済みか、結果待ちか、結果により見直す範囲があるかを分けます。波形スレート屋根や外装など、建物の一部だけを見て全体の結論を決めつけず、調査書面に示された対象と解体範囲の対応を確認します。確認できない点は、確認時期とともに未確定事項として記録します。
報告と届出を読み分ける
規模による報告対象を確認する

大気汚染防止法第18条の15第6項と同施行規則第16条の11第1項は、調査結果を都道府県知事へ報告する対象工事の規模を定めています。建築物の解体は対象床面積の合計80平方メートル以上、建築物の改造・補修は請負代金の合計100万円以上、環境大臣が定める工作物の解体・改造・補修は請負代金の合計100万円以上が報告対象です。報告の義務者は元請業者または自主施工者であり、調査そのものが全件対象であることとは別に確認します。
出典はe-Gov法令検索の大気汚染防止法第18条の15および同施行規則です。法律・施行規則の現行版施行日は2026-07-01、法律の改正公布日は2026-05-22、施行規則の改正公布日は2026-06-30、確認日は2026-09-05です。報告の対象かどうかを工事規模だけで断定せず、工事の内容と義務者を確認します。
届出対象工事の届出を確認する
届出対象特定工事では、大気汚染防止法第18条の17第1項により、発注者または自主施工者が特定粉じん排出等作業の開始日の14日前までに届出を行う枠があります。届出対象は、特定建築材料に係る作業を伴う工事であり、調査結果の報告とは別の手続です。発注者は、調査結果の書面を受け取り、届出が必要となる可能性がある範囲と期限を、工事の着手予定日から逆算して確認します。
届出に添付する資料や対象の個別判断は、工事の内容で変わります。発注者が受け取る届出関連の書面と、元請業者が行う調査結果の報告を同じ手続として扱わず、誰が何を確認するかを分けます。解体工事全体の届出の役割と期限は、解体工事の届出一覧も参照してください。
適正な費用負担と協力を確認する
発注者への書面説明を確認する

大気汚染防止法第18条の15第1項は、元請業者が事前調査を行い、発注者に書面を交付して説明する枠を定めています。同条第2項は、発注者に調査費用の適正な負担と、調査への協力を求めています。発注者は、調査の費用額を一律に考えるのではなく、調査の対象、結果の受領、見積に反映する範囲を工事条件と照合します。
書面を受け取る時点で、調査済みの範囲、結果待ちの範囲、結果により見直す可能性がある範囲を分けます。工事の方法や材料の個別判断を発注者だけで行わず、書面に記載された内容を確認したうえで、判断が必要な点は所管窓口または専門家へ確認してください。
違反した場合の対応の流れ
指導・是正勧告・命令等の段階を確認する

石綿障害予防規則に関する対応は、労働基準監督署による指導・是正勧告から、従わない場合の使用停止等の命令へ進む段階があります。使用停止等の命令は労働安全衛生法第98条に基づく枠であり、命令違反等に対する法定の対応へ続きます。調査の報告をしない、または虚偽の報告をした場合は、大気汚染防止法第35条第4号により30万円以下の罰金が定められていますが、個別の事案がどの段階に当たるかは所管機関へ確認します。
調査結果が未確認のまま工事条件を決めないこと、書面を受け取った日と確認した範囲を記録することが、発注者が行える基本の確認です。工事を止めるかどうかや法令の個別適用を発注者だけで決めず、必要に応じて所管窓口または専門家へ相談してください。
よくある質問
小規模な解体でも石綿事前調査は必要ですか。
石綿障害予防規則第3条第1項は、解体・改修の規模にかかわらず事前調査を求めています。報告には別の規模条件があり、大気汚染防止法第18条の15第6項と同施行規則第16条の11の現行版を2026-09-05に確認しました。調査と報告を同じ条件で判断せず、対象範囲を確認します。
発注者は調査結果のどこを確認しますか。
調査対象、対象材料、結果、発注者への書面説明、見積へ反映する範囲を確認します。大気汚染防止法第18条の15第1項は元請業者の調査と書面説明の枠を定め、同条第2項は発注者の適正な費用負担・協力を定めています。出典は同法の現行版で、確認日は2026-09-05です。
調査費用は誰が負担しますか。
大気汚染防止法第18条の15第2項は、発注者に調査費用の適正な負担と調査への協力を求めています。金額は建物や調査範囲で異なるため、一律の費用を示さず、調査対象と結果を見積の工事範囲にどう反映するかを確認します。個別の負担内容は書面と契約条件を照らして確認してください。
まとめ
石綿事前調査では、全件に必要な調査、規模により対象となる報告、届出対象特定工事の届出を分けて確認します。発注者は、調査結果と書面説明を受け取り、調査費用の適正な負担・協力、見積への反映範囲を確認します。法令・手続き解説とお問い合わせも、必要な確認の入口として利用できます。
出典
- 石綿障害予防規則(laws.e-gov.go.jp)
- 労働安全衛生法(laws.e-gov.go.jp)
- 工作物石綿事前調査者(ishiwata.mhlw.go.jp)
- 大気汚染防止法(laws.e-gov.go.jp)
- 大気汚染防止法施行規則(laws.e-gov.go.jp)
著者・監修
依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表
依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。解体工事の発注に関わる建設業許可・解体工事業登録・建設リサイクル法の手続きと費用構造について、e-Gov・国土交通省等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。
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