解体前の石綿調査と土壌調査|発注者が二つを分けて考える順番
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
解体前の確認では、石綿と土壌を分けて考えることが必要です。石綿は建物側の調査と説明に関わる資料、土壌は土地側の利用履歴や土地の条件に関わる資料として扱います。法人の発注者は、二つの資料を一つの「調査済み」にまとめず、確認先、判断日、工程への影響を別に記録します。

二つの確認対象を分ける
石綿と土壌は、確認する対象、資料の種類、確認先が異なります。発注者は、建物側の資料と土地側の資料を分け、同じ担当者が確認する場合でも記録を混在させません。工事範囲や土地利用の条件に変更があれば、どちらの確認に影響するかを記録します。
| 確認対象 | 主な資料 | 発注者が確認する相手 | 案件記録に残す事項 |
|---|---|---|---|
| 石綿 | 設計図書、調査結果の書面、説明記録 | 元請業者、所管窓口 | 書面の名称、説明日、建物側の範囲 |
| 土壌 | 土地利用に関する資料、確認記録 | 所管窓口、専門家 | 土地側の条件、確認日、確認先 |
| 工程 | 範囲表、工程表、変更記録 | 社内の判断者、施工側 | 影響する工程と未確認事項 |
建物側の石綿確認を整理する
石綿に関する確認では、建物や工作物の解体範囲、設計図書、施工側から受ける調査結果の書面を結び付けます。大気汚染防止法第18条の15第1項では、解体等工事の元請業者が事前調査を行い、発注者へ書面を交付して説明することが定められています。発注者は、調査を代行せず、説明を受けた日と資料の保管先を記録します。
波形スレート屋根など建物側の部位を含む範囲は、図面と現況を照らして整理します。図面と現況に差がある場合は、確認先と判断予定を残します。制度の詳細は、石綿事前調査の義務と対象と所管窓口で確認します。

土地側の確認を整理する
土壌に関する確認では、土地利用に関する資料、土地の状態、工事範囲との関係を整理します。土壌汚染対策法第4条第1項には、一定の場合における土地の形質の変更に関する届出の仕組みが定められています。発注者は、建物側の石綿資料とは別に、土地側の確認先、確認日、資料の所在を記録します。
土地の条件を確認するときは、解体範囲だけで結論を決めず、工事場所の所管窓口や専門家に確認する事項を残します。石綿の調査結果を土地側の確認に置き換えず、また土地側の確認を建物側の説明に置き換えません。土壌汚染調査が必要になる場面も確認の入口になります。
発注前の資料をそろえる
発注前には、建物側と土地側で資料を分け、どの資料が不足しているかを確認します。資料がないことを調査不要という結論にせず、確認先と判断予定を記録します。資料の収集と、案件の最終判断を同じ作業として扱いません。
設計図書と土地利用資料を分ける
建物側では、設計図書、現況写真、設備台帳、過去の調査結果などを集めます。土地側では、土地利用に関する資料、既存の記録、所管窓口に確認する事項を整理します。二つの資料は保存場所が同じでも、一覧の列と確認先を分けます。
発注者は、施工側に伝える範囲表にも、建物側と土地側の未確認事項を別に記載します。例えば、建物の一部を残す条件と、土地の条件に関する確認は、同じ「未確認」という言葉だけで管理しません。確認する資料、確認先、判断予定を記録します。

調査済みと未確認を記録する
資料を受け取った項目は、資料名、受領日、確認した相手、範囲との対応を残します。未確認の項目は、確認先、確認予定、工程に影響する可能性を記録します。石綿と土壌を一つの完了欄にすると、どちらの確認が残っているかが分かりません。
社内で判断を行う場合は、施工側や専門家が確認する事項と分けて記録します。判断が終わったときは、確認日と判断内容を範囲表や工程表に反映します。当初の資料を消さずに残すことで、後から確認の経過を追えます。
石綿と土壌は、確認先と資料の扱いを分けることで、次の工程で判断を混同しにくくなります。
工程と判断をつなぐ
石綿と土壌を分けて考えることは、資料を別のフォルダに置くだけでは足りません。各資料の確認時点、工程に影響する可能性、社内の判断日を結び付けます。発注者は、どちらかの資料がそろっただけで全ての確認を終えたものとして扱いません。
結果によって確認事項が変わることを記録する
調査結果や土地側の確認によって、工事範囲、工程、施工側へ確認する事項が変わる場合があります。発注者は、変更した対象、変更日、影響する工程、確認先を記録します。結果の詳細を記事の一般論だけで判断せず、案件の資料と所管窓口・専門家の確認を結び付けます。
工程表には、資料を受け取る日、説明を受ける日、届出の確認が必要な日、社内の判断日を分けて置きます。建物側の石綿確認と土地側の確認を別に管理すると、どの判断が工程に影響しているかを確認できます。
建物側の確認は、解体前の石綿事前調査で受け取る書面と範囲を整理します。土地側の確認は、解体に伴う土壌汚染調査を参照して資料と確認先を分けます。解体工事と大気汚染防止法も確認し、石綿に関する調査と届出を同じ手続として扱わないようにします。

専門記事と所管窓口を確認先にする
石綿の制度情報は、石綿の事前調査のスケジュールと環境省の案内を確認先にします。土壌に関する制度情報は、土地の所在地に応じた所管窓口と専門家に確認します。発注者は、専門記事や一般情報をそのまま案件の結論にせず、確認先と確認日を案件記録に残します。
資料の確認先が複数ある場合は、回答を受けた日と、どの資料へ反映したかを記録します。未確認事項を残したままにせず、確認先と判断予定を付けます。着工前の記録があれば、担当者が交代した場合にも、二つの確認対象を分けて引き継げます。

確認記録を引き継ぐ
確認内容を一覧にする
確認記録には、資料名だけでなく、どの対象と照らしたか、確認した日、確認先、判断を終えた担当を残します。資料を受け取った時点と内容を確認した時点が異なる場合は、二つの日を分け、確認に用いた資料の保管先と版も併記します。
対象が建物、設備、外構、地中などにまたがる場合は、範囲表のどの行を確認したかも記録します。確認済みという印だけで管理すると、何を根拠にしたか、どの資料が未確認かを後から確認しにくくなります。
変更時の経過を残す
対象や工程に変更があった場合は、変更前の記録を消さず、差分、変更日、影響する確認項目、確認先を追加します。説明を受けた日と社内で判断した日を分けておくと、施工側の確認事項と発注側の判断を混同せずに済みます。
契約上の相手、施工側の確認先、所管窓口、社内の判断者が異なる場合は、役割を同じ欄にまとめません。誰が実務を担うかと、発注者が資料を確認する範囲を区別し、未確認事項には判断予定を付けます。
完了時の照合につなぐ
担当者の交代時には、未確認事項、確認先、判断予定、資料の保管先を引き継ぎます。口頭の連絡だけに頼らず、範囲表、工程表、条件表のどの資料を更新したかを案件記録に残します。
完了時には、当初の条件、工事中の変更、受領資料を照らし、どの項目を確認したかを記録します。必要な判断が残るときは確定したように扱わず、確認先と次の確認時点を明記します。
資料を確認した後に新しい情報が出た場合は、元の資料、追加資料、確認した相手、確認日を同じ案件記録で結び付けます。結論だけを更新せず、どの条件が変わったかを残すことで、着工前の判断と完了時の照合を継続できます。確認が必要な事項は、確認先と判断予定を明確にします。
資料の確認結果を更新したときは、更新前後の内容と確認した日を並べ、どの判断に反映したかを記録します。
まとめ
解体前の石綿と土壌は、建物側・土地側の対象、資料、確認先、工程を分けて考えます。法令・届出の確認、石綿事前調査の義務と対象、記事一覧を参照し、二つの確認対象を別の記録で管理してください。
よくある質問
- Q. 石綿と土壌は同じ調査として管理できますか
- 管理しません。石綿は建物側の調査結果と元請業者からの説明、土壌は土地側の資料と所管窓口・専門家への確認を分けます。対象、資料、確認先、確認日、工程への影響を別の欄に記録します。
- Q. 資料が不足している場合はどうしますか
- 資料がないことを調査不要という結論にせず、建物側または土地側のどちらに関する不足か、確認先、確認予定、工程に影響する可能性を記録します。所管窓口や専門家へ確認した日と回答を受けた日も残します。
- Q. 結果は工程表にどのように反映しますか
- 石綿と土壌それぞれについて、資料を受け取る日、説明を受ける日、届出の確認が必要な日、社内の判断日を別に置きます。結果や確認状況が変わった場合は、影響する工程、変更日、確認先を追加します。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.大気汚染防止法(laws.e-gov.go.jp)
- 2.土壌汚染対策法(laws.e-gov.go.jp)
- 3.環境省 石綿飛散防止対策(env.go.jp)