法令・手続き解説

石綿事前調査の結果を解体工事の発注条件へ反映する確認項目

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

石綿事前調査の結果を受け取った後は、結果そのものを保管するだけでなく、解体工事の発注条件にどの資料を反映するかを整理します。発注者は、元請業者から説明を受けた書面、建物側の工事範囲、工程、未確認事項を分けて記録します。調査や届出の手順を記事上で再説明するのではなく、結果を契約・工程の確認条件へ渡すための整理です。

石綿事前調査の書面を解体工事の発注条件へつなぐ確認図
石綿事前調査の書面を解体工事の発注条件へつなぐ確認図

調査結果を確認する前提

調査結果は、建物側の対象と工事範囲に対応させます。発注者は、書面の名称、説明を受けた日、説明を受けた相手、範囲表との対応を案件記録に残します。資料の内容を施工側に代わって判断するのではなく、発注条件に反映するための確認事項と、確認が残る事項を分けます。

確認する資料発注条件へ反映する項目確認する相手記録する内容
調査結果の書面建物側の対象と範囲元請業者資料名、説明日、範囲との対応
設計図書・現況記録残す対象と差分社内担当、施工側差分、確認先、判断予定
工程表確認と判断の時点社内の判断者説明日、判断日、変更日
契約条件の一覧未確認事項と確認先契約上の相手条件、確認先、記録の保管先

発注者が説明を受ける資料を確認する

大気汚染防止法第18条の15第1項では、解体等工事の元請業者が事前調査を行い、発注者へ書面を交付して説明することが定められています。発注者は、書面を受け取った日だけで確認を終えず、どの建物や部位の範囲と対応するかを範囲表で確認します。書面の保管先も案件記録に残します。

調査結果を確認する場面では、波形スレート屋根など建物側の対象を、土地側の資料と混ぜません。図面と現況に差がある場合は、資料が正しいと一律に決めず、確認先と判断予定を残します。制度の確認は、石綿事前調査の義務と対象と所管窓口を参照します。

調査結果の書面と建物側の解体範囲を照合する発注条件の図解
調査結果の書面と建物側の解体範囲を照合する発注条件の図解

調査と届出を別に確認する

事前調査の結果を発注条件へ反映する確認と、届出に関する確認は別の項目です。届出対象特定工事の届出は、大気汚染防止法第18条の17第1項により発注者または自主施工者が行う手続です。発注者は、書面の説明を受けた記録と、届出に関する対象・期限・提出先の確認を同じ完了欄にまとめません。

調査結果が工程や範囲に影響する可能性がある場合は、工事の条件表に確認先と判断予定を記載します。届出の対象となるかについては、工事内容、調査結果、所管窓口と施工側の確認を踏まえます。解体工事の届出一覧で、手続名、義務者、期限、提出先を整理できます。

発注条件へ反映する確認項目

調査結果を受け取った後は、工事の条件表、範囲表、工程表、契約時に確認する資料へどの情報を渡すかを整理します。発注者は、結果の有無だけで比較せず、どの資料に反映したか、未確認事項が残るか、誰が判断するかを記録します。

範囲と工程を見直す

範囲表では、建物、設備、外構、残す対象、確認中の対象を分けます。調査結果の説明を受けた後に範囲の確認が必要になった場合は、当初の範囲表を残し、変更した対象、変更日、説明を受けた相手を追加します。対象が未確認のときは、対象外と断定せず、確認先を明確にします。

工程表には、書面の説明を受ける日、範囲を確認する日、社内で判断する日、条件変更を共有する日を分けて置きます。施工側の作業予定と発注側の判断予定を同じ欄にすると、確認が残る場所が分かりにくくなります。工程変更があれば、影響する条件と確認先を記録します。

石綿調査結果に合わせて解体範囲と工程を見直す確認表の図
石綿調査結果に合わせて解体範囲と工程を見直す確認表の図

未確認事項を条件表に残す

未確認事項には、図面と現況の差、残す設備の判断、資料の不足、所管窓口に確認する事項などがあります。発注者は、未確認であることだけを記載せず、確認先、判断予定、工程に影響する可能性を条件表に残します。確認が終わったときは、確認日と変更内容を追加します。

条件表は、施工側へ一方的な作業を求めるものではなく、発注者が説明を受け、社内で判断するための記録です。契約の相手、説明を受ける相手、社内の判断者が異なる場合は、役割を分けて記載します。保管先を決めておくと、担当者が交代しても発注条件の経過を確認できます。

完了資料と確認記録をつなぐ

発注条件への反映は、契約前だけの作業ではありません。工事中に範囲や工程が変わった場合は、当初の調査結果の説明と条件表を照らします。完了時には、当初条件、変更記録、受け取る資料を案件記録で確認できる状態にします。

変更の経過を残す

変更記録には、変更した対象、変更日、理由の確認先、工程への影響、どの条件表を更新したかを残します。調査結果を受け取った時点の資料を消さず、変更後の判断と並べて保管します。発注者は、施工側が行う調査や手続を代行せず、説明と条件の対応を記録します。

変更が生じた場合は、施工側から受ける説明と、社内で確認する判断を分けます。記録を更新した日と担当を残すことで、完了時にどの条件で工事を確認したかをたどれます。未確認事項が残る場合は、確認先と判断予定を更新します。

発注条件へ反映する前に、石綿を含む解体工事の14日前届出で工程に置く確認事項を整理します。解体前の石綿調査と土壌調査も参照し、建物側と土地側の資料を分けて記録します。

条件変更の前後を石綿調査結果と結び付けて記録する図解
条件変更の前後を石綿調査結果と結び付けて記録する図解

完了時に照合する資料を決める

着工前から、完了時に確認する資料、受領する相手、保管先を一覧にします。完了時には、範囲表、条件表、変更記録、受領資料を照らし、どの条件を確認したかを残します。資料の名称だけを保管せず、調査結果の説明とどの工事範囲を結び付けたかが分かるようにします。

環境省の石綿飛散防止対策の案内も制度情報の確認先です。個別案件の判断は、工事の範囲、調査結果、所管窓口の案内に応じて確認します。発注者は、確認中の事項を確定したように扱わず、確認先と判断予定を案件記録に残します。

完了資料と発注条件の確認記録を照合する石綿調査の図
完了資料と発注条件の確認記録を照合する石綿調査の図

確認記録を引き継ぐ

確認内容を一覧にする

確認記録には、資料名だけでなく、どの対象と照らしたか、確認した日、確認先、判断を終えた担当を残します。資料を受け取った時点と内容を確認した時点が異なる場合は、二つの日を分け、確認に用いた資料の保管先と版も併記します。

対象が建物、設備、外構、地中などにまたがる場合は、範囲表のどの行を確認したかも記録します。確認済みという印だけで管理すると、何を根拠にしたか、どの資料が未確認かを後から確認しにくくなります。

変更時の経過を残す

対象や工程に変更があった場合は、変更前の記録を消さず、差分、変更日、影響する確認項目、確認先を追加します。説明を受けた日と社内で判断した日を分けておくと、施工側の確認事項と発注側の判断を混同せずに済みます。

契約上の相手、施工側の確認先、所管窓口、社内の判断者が異なる場合は、役割を同じ欄にまとめません。誰が実務を担うかと、発注者が資料を確認する範囲を区別し、未確認事項には判断予定を付けます。

完了時の照合につなぐ

担当者の交代時には、未確認事項、確認先、判断予定、資料の保管先を引き継ぎます。口頭の連絡だけに頼らず、範囲表、工程表、条件表のどの資料を更新したかを案件記録に残します。

完了時には、当初の条件、工事中の変更、受領資料を照らし、どの項目を確認したかを記録します。必要な判断が残るときは確定したように扱わず、確認先と次の確認時点を明記します。

資料を確認した後に新しい情報が出た場合は、元の資料、追加資料、確認した相手、確認日を同じ案件記録で結び付けます。結論だけを更新せず、どの条件が変わったかを残すことで、着工前の判断と完了時の照合を継続できます。確認が必要な事項は、確認先と判断予定を明確にします。

まとめ

石綿事前調査の結果は、書面の説明、解体範囲、工程、未確認事項を分けて発注条件へ反映します。法令・届出の確認、石綿事前調査の義務と対象、記事一覧を参照し、結果と契約条件の対応を案件記録に残してください。

よくある質問

Q. 調査結果はどの資料に反映しますか
調査結果の書面は、工事の範囲表、条件表、工程表、受領資料の一覧と照らします。書面の名称、説明を受けた日、対応する建物側の範囲、未確認事項、確認先、保管先を案件記録に残します。
Q. 調査結果を受け取れば届出確認は不要ですか
不要にはなりません。事前調査と届出は別の確認事項です。届出対象特定工事の届出は大気汚染防止法第18条の17第1項により発注者または自主施工者が行うため、対象、期限、提出先を所管窓口と施工側へ確認します。
Q. 図面と現況が違う場合はどうしますか
どちらかを一律に正しいと決めず、差分、確認先、判断予定、工程への影響を条件表に残します。調査結果の書面を受けた日と、範囲を確認した日を分けて記録し、変更後も当初資料を保管します。

出典

本記事の出典は に内容を確認しています。

  1. 1.
    大気汚染防止法(laws.e-gov.go.jp)
  2. 2.