解体工事と大気汚染防止法|発注者が確認する石綿事前調査と届出
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
解体工事で石綿に関する確認が必要な場合、事前調査と届出は同じ主体が行うものではありません。大気汚染防止法では、元請業者による事前調査と発注者への書面交付・説明、届出対象特定工事における発注者または自主施工者の届出が分けて定められています。発注者は、調査結果の説明、届出の確認、着工判断の記録を分けて整理します。

事前調査と届出の違いを確認する
調査と届出を一つの「石綿対応」として扱うと、誰が何を確認するかが曖昧になります。発注者は、施工側から受ける書面と説明、届出に関する確認先、工程に反映する条件を別の欄に置きます。工事の範囲や調査結果に変更がある場合も、確認した日と資料を残します。
| 確認する事項 | 法令上の位置付け | 主体 | 発注者が残す記録 |
|---|---|---|---|
| 事前調査 | 大気汚染防止法第18条の15第1項 | 元請業者 | 書面を受け説明を確認した日 |
| 書面の交付と説明 | 大気汚染防止法第18条の15第1項 | 元請業者 | 資料名と工事範囲との対応 |
| 届出対象特定工事の届出 | 大気汚染防止法第18条の17第1項 | 発注者または自主施工者 | 対象、期限、提出先の確認日 |
| 工程への反映 | 契約・案件管理上の確認 | 発注者の案件担当 | 判断者、未確認事項、変更記録 |
元請業者による事前調査を確認する
大気汚染防止法第18条の15第1項では、解体等工事の元請業者が建築物等について事前調査を行い、その結果を発注者へ書面で交付して説明することが定められています。発注者は、調査の実施そのものを代行するのではなく、説明を受ける日、書面の名称、工事範囲との対応を案件記録に残します。
同法の現行法施行日は2026-07-01、改正公布日は2026-05-22、確認日は2026-09-05です。条文はe-Govの大気汚染防止法で確認できます。調査結果が工事範囲や工程に影響する場合は、当初の範囲表を消さず、変更を確認した日と確認先を記録します。

発注者または自主施工者による届出を確認する
大気汚染防止法第18条の17第1項では、届出対象特定工事について、発注者または自主施工者が作業開始の日の14日前までに都道府県知事へ届け出ることが定められています。発注者は、調査を行う主体と届出を行う主体を同じものとして扱わず、対象、期限、提出先を確認します。
届出の対象となるかどうかは、工事内容と調査結果を踏まえて確認します。一般的な説明だけで案件の結論を決めず、所管窓口と施工側の確認先、確認した日、資料の所在を記録します。解体工事の届出一覧も、手続名、義務者、期限、提出先を整理する入口になります。
発注者が受け取る説明を整理する
発注者は、書面で説明を受けた内容を、工事範囲、工程、社内の判断と照らします。資料の存在だけで確認を終えず、対象となる建物や部位、未確認事項、確認先を記録します。調査の説明と届出に関する確認を別のファイルまたは一覧にしておくと、後から経過を追えます。
調査結果と工事範囲を照らす
調査結果を受け取ったときは、建物、設備、外構、残す対象、確認中の対象を記載した範囲表と照らします。図面と現況に差がある場合は、資料の差分を確認する相手と判断予定を残します。発注者は、施工側が行う調査の内容を独自に判断するのではなく、説明を受けた記録と案件の範囲を結び付けます。
石綿に関する確認では、波形スレート屋根など建物側の対象を、土地に関する確認と同じ欄にまとめません。資料の種類、確認先、工程に影響する可能性を分けて記録します。制度の詳細は、石綿事前調査の義務と対象も確認先になります。

工程と社内判断を分ける
工程表には、調査結果を説明された日、届出に関する確認を行う日、社内で判断する日を分けて置きます。施工側の作業予定と発注側の判断予定を同じ日付だけで管理すると、誰の確認が残っているかが分かりにくくなります。未確認事項には確認先と判断予定を付けます。
工程が変わったときは、変更した作業、影響する期間、確認する資料、確認先を記録します。発注者は、届出の要否や調査結果を工程表だけで決めず、施工側の説明と所管窓口への確認を案件記録に残します。変更前の工程表を残すことで、判断の経過を確認できます。
届出確認と周辺対応を分ける
石綿に関する届出の確認と、近隣への説明計画は目的が異なります。発注者は、届出の提出先と、周辺からの問合せを受ける連絡先を混同しません。工程変更があった場合は、両方の記録を見直し、どの確認先に連絡したかを残します。
提出先と確認先を記録する
届出対象特定工事の届出では、提出先は都道府県知事です。発注者は、所在地の所管窓口、施工側の確認担当、社内の案件担当を別々に記録します。届出書を提出したという連絡だけを受けるのではなく、対象、期限、提出先、確認した日を案件記録に残します。
発注者は、手続の実務を第三者に代わって担うのではなく、確認した資料と判断の経過を残します。資料の保管先、確認者、未確認事項の有無を明確にしておくと、担当者が交代した場合にも確認できます。
石綿の事前調査で受け取る書面は、解体前の石綿事前調査で確認範囲を整理できます。法人の解体前に必要な調査一覧も参照し、建物側の資料と土地側の資料を分けて記録します。

周辺への説明計画は別に確認する
周辺への説明では、作業予定、仮囲い、搬出経路、問合せの確認先などを確認します。法令上の届出とは別に、施工側の説明計画と社内の連絡先を記録します。説明を行ったことだけで届出確認を済ませたことにはならないため、資料を分けて保管します。
環境省の石綿飛散防止対策の案内は制度情報の確認先です。個別の工事で必要となる判断は、工事内容、調査結果、所管窓口の案内に応じて確認します。発注者は、確認中の事項を確定したように扱わず、確認先と判断予定を残します。
確認記録を引き継ぐ
確認内容を一覧にする
確認記録には、資料名だけでなく、どの対象と照らしたか、確認した日、確認先、判断を終えた担当を残します。資料を受け取った時点と内容を確認した時点が異なる場合は、二つの日を分け、確認に用いた資料の保管先と版も併記します。
対象が建物、設備、外構、地中などにまたがる場合は、範囲表のどの行を確認したかも記録します。確認済みという印だけで管理すると、何を根拠にしたか、どの資料が未確認かを後から確認しにくくなります。
変更時の経過を残す
対象や工程に変更があった場合は、変更前の記録を消さず、差分、変更日、影響する確認項目、確認先を追加します。説明を受けた日と社内で判断した日を分けておくと、施工側の確認事項と発注側の判断を混同せずに済みます。
契約上の相手、施工側の確認先、所管窓口、社内の判断者が異なる場合は、役割を同じ欄にまとめません。誰が実務を担うかと、発注者が資料を確認する範囲を区別し、未確認事項には判断予定を付けます。
完了時の照合につなぐ
担当者の交代時には、未確認事項、確認先、判断予定、資料の保管先を引き継ぎます。口頭の連絡だけに頼らず、範囲表、工程表、条件表のどの資料を更新したかを案件記録に残します。
完了時には、当初の条件、工事中の変更、受領資料を照らし、どの項目を確認したかを記録します。必要な判断が残るときは確定したように扱わず、確認先と次の確認時点を明記します。
資料を確認した後に新しい情報が出た場合は、元の資料、追加資料、確認した相手、確認日を同じ案件記録で結び付けます。結論だけを更新せず、どの条件が変わったかを残すことで、着工前の判断と完了時の照合を継続できます。確認が必要な事項は、確認先と判断予定を明確にします。

まとめ
大気汚染防止法に関する確認では、元請業者の事前調査と書面説明、発注者または自主施工者の届出、発注側の工程記録を分けます。法令・届出の確認、解体工事の届出一覧、記事一覧を参照し、調査結果と届出確認を案件記録につなげてください。
よくある質問
- Q. 石綿の事前調査は発注者が行いますか
- 大気汚染防止法第18条の15第1項では、解体等工事の元請業者が事前調査を行い、発注者へ書面を交付して説明します。発注者は、説明を受けた日、書面の名称、工事範囲との対応、社内で確認する事項を案件記録に残します。
- Q. 届出は事前調査と同じ主体が行いますか
- 同じではありません。届出対象特定工事の届出は、大気汚染防止法第18条の17第1項により発注者または自主施工者が行います。対象、期限、提出先は、工事内容と調査結果を踏まえて所管窓口と施工側へ確認します。
- Q. 発注者は調査結果をどのように残しますか
- 書面を受け取った日、説明を受けた相手、範囲表と照合した内容、未確認事項、確認先、工程に影響する可能性を記録します。届出の確認と周辺への説明計画は別の欄にし、変更があれば確認日を追加します。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.大気汚染防止法(laws.e-gov.go.jp)
- 2.環境省 石綿飛散防止対策(env.go.jp)