解体工事の産業廃棄物|発注者が確認する役割と完了資料
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
解体工事で生じる産業廃棄物は、発注者が処理を直接行うかどうかだけで整理すると、工事範囲や完了資料との関係が見えにくくなります。法人の発注者は、元請業者の法令上の位置付け、契約時に確認する資料、完了時に受け取る資料を分け、当初の範囲と照らせる記録を残します。

解体工事の廃棄物に関わる役割
解体工事では、建物本体、設備、外構、基礎などの範囲に応じて、分別された廃材の山や産業廃棄物のコンテナに入る対象が生じます。発注者は、工事範囲に含まれる対象と、残す対象、未確認の対象を表に整理し、処理に関する説明を受ける資料と結び付けます。
| 確認する場面 | 発注者が確認する事項 | 確認する資料 | 記録する内容 |
|---|---|---|---|
| 契約前 | 解体範囲と対象外 | 範囲表、現況写真 | 対象と未確認事項 |
| 着工前 | 役割と確認先 | 契約書、説明資料 | 元請関係と受領先 |
| 工事中 | 範囲変更 | 変更記録、工程表 | 変更日と確認先 |
| 完了時 | 再資源化等の報告 | 完了資料、保管記録 | 照合した日と保管先 |
排出事業者の位置付けを確認する
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第21条の3第1項では、建設工事に伴って生ずる廃棄物について、元請業者を排出事業者として扱うことが定められています。発注者は、発生する廃棄物の処理主体を自ら指定するのではなく、契約関係と工事の元請関係を確認し、説明を受ける相手と資料の受領先を記録します。
同法の現行法施行日は2026-07-01、改正公布日は2026-05-22、確認日は2026-09-05です。規定の内容はe-Govの廃棄物処理法で確認できます。工事範囲の変更があるときは、当初の範囲表と変更記録を照らし、どの資料を更新したかを残します。

発注者が確認する範囲を整理する
発注者が確認するのは、工事の対象、契約上の相手、説明資料、完了時に照合する資料です。施工や処理の手順を発注者が代行するという意味ではありません。対象ごとに、建物、設備、外構、コンクリートガラ、鉄骨の梁と柱などを範囲表で整理し、除外したものや確認中のものを明確にします。
確認事項を一つの欄に集めると、範囲の判断と法令上の役割が混ざります。範囲表には何を対象にしたか、契約記録には誰から説明を受けるか、完了資料の一覧には何と照らすかを置きます。記録を分けることで、担当者が変わっても確認経過を追いやすくなります。
契約前に確認する資料
契約前には、廃棄物に関する資料だけでなく、解体範囲そのものを確認します。対象が曖昧なままでは、完了時に受け取る資料を何と照らすかが定まりません。現況と図面に差がある場合は、確認先と判断予定を残します。
工事範囲と処理対象を照らす
範囲表では、撤去する建物、設備、外構、地中の対象と、存置するものを分けます。基礎コンクリートや杭、残置物の扱いが未確認の場合は、対象外と断定せず、確認先と判断予定を記録します。分別された木材、鉄、コンクリートなどの扱いについて説明を受ける資料は、範囲表の対象と対応させます。
建設リサイクル法第12条では、対象建設工事の請負契約を締結する前に、受注者が発注者へ一定事項を書面で説明することが定められています。発注者は、説明を受けた資料を工事条件と照らし、資料名と受領日を残します。現行法施行日は2025-06-01、改正公布日は2022-06-17、確認日は2026-09-05です。

説明を受ける資料を記録する
説明資料を受け取ったときは、資料名だけでなく、どの範囲と対応するか、どの担当者が確認したかを記録します。契約後に範囲が変わる可能性がある項目は、変更の確認先も残します。発注者は、資料の内容をその場で判断できない場合でも、確認中の状態と確認先を明確にします。
説明を受ける相手と、完了時に資料を受け取る相手が異なる場合があります。契約書、工程表、資料一覧で受領先を照らし、引継ぎ時に確認が抜けないようにします。案件ごとの保管先を決めておくと、範囲変更があった後にも当初資料を確認できます。
完了時に確認する資料
完了時には、当初の範囲表、変更記録、着工前に受け取った説明資料を照らします。完了したという連絡だけでなく、どの条件を確認したか、誰が確認したか、資料をどこに保管するかを残します。契約時からの経過を確認できる状態にすることが、発注者の資料確認です。
再資源化等の完了報告を確認する
建設リサイクル法第18条では、対象建設工事の元請業者が、再資源化等の完了後に発注者へ書面で報告することが定められています。発注者は、報告書を受け取る予定と受領先を着工前に記録し、当初の工事範囲と照らします。現行法施行日は2025-06-01、改正公布日は2022-06-17、確認日は2026-09-05です。
報告書を確認するときは、工事範囲の変更、未確認だった対象の判断、受領日を同じ案件記録に残します。処理の実務内容を発注者が代行するのではなく、契約時に整理した対象と、受け取る資料がつながっているかを確認します。e-Govの建設リサイクル法も確認先になります。
契約前に受け取る資料は、解体工事の契約書で確認することと照らして整理します。法人の解体工事で発注前に確認することも参照し、範囲と完了資料を結び付けます。

記録の保管先を確認する
完了資料は、工事の範囲表、変更記録、説明資料と同じ案件記録でたどれるように保管します。保管する担当、保管場所、受領日、照合した項目を一覧にします。ファイル名だけで管理すると、後から対象との関係を判断しにくくなるため、範囲表の版や変更日も残します。
社内の担当者が交代するときは、未確認事項の有無、受領予定の資料、保管先を引き継ぎます。工事後に確認が必要になった際に、資料を探し直さずに済むよう、当初の確認条件と完了時の資料をつなげます。資料の保存期間などの個別判断は、必要に応じて所管窓口や専門家へ確認します。

確認記録を引き継ぐ
確認内容を一覧にする
確認記録には、資料名だけでなく、どの対象と照らしたか、確認した日、確認先、判断を終えた担当を残します。資料を受け取った時点と内容を確認した時点が異なる場合は、二つの日を分け、確認に用いた資料の保管先と版も併記します。
対象が建物、設備、外構、地中などにまたがる場合は、範囲表のどの行を確認したかも記録します。確認済みという印だけで管理すると、何を根拠にしたか、どの資料が未確認かを後から確認しにくくなります。
変更時の経過を残す
対象や工程に変更があった場合は、変更前の記録を消さず、差分、変更日、影響する確認項目、確認先を追加します。説明を受けた日と社内で判断した日を分けておくと、施工側の確認事項と発注側の判断を混同せずに済みます。
契約上の相手、施工側の確認先、所管窓口、社内の判断者が異なる場合は、役割を同じ欄にまとめません。誰が実務を担うかと、発注者が資料を確認する範囲を区別し、未確認事項には判断予定を付けます。
完了時の照合につなぐ
担当者の交代時には、未確認事項、確認先、判断予定、資料の保管先を引き継ぎます。口頭の連絡だけに頼らず、範囲表、工程表、条件表のどの資料を更新したかを案件記録に残します。
完了時には、当初の条件、工事中の変更、受領資料を照らし、どの項目を確認したかを記録します。必要な判断が残るときは確定したように扱わず、確認先と次の確認時点を明記します。
まとめ
解体工事の産業廃棄物は、元請業者の位置付け、発注者が確認する範囲、契約時と完了時の資料を分けて整理します。法令・届出の確認、解体工事の届出一覧、記事一覧を参照し、当初範囲と完了資料を照合できる記録を残してください。
よくある質問
- Q. 解体工事の廃棄物の排出事業者は誰ですか
- 廃棄物処理法第21条の3第1項では、建設工事に伴って生ずる廃棄物について元請業者を排出事業者として扱います。発注者は、契約関係と元請関係を確認し、説明資料の受領先と完了時に照合する資料を案件記録に残します。
- Q. 発注者は何を確認すればよいですか
- 解体範囲、残す対象、確認中の対象、説明を受ける相手、完了時に受け取る資料、保管先を分けて確認します。発注者が処理を代行するのではなく、当初の範囲と受領資料を照らせる状態にすることが重要です。
- Q. 完了時の報告はどのように残しますか
- 対象建設工事では、建設リサイクル法第18条に基づく元請業者の書面報告を確認します。範囲表、変更記録、受領日、照合した項目、保管先を同じ案件記録に残し、どの条件と照らしたかが分かるようにします。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.廃棄物の処理及び清掃に関する法律(laws.e-gov.go.jp)
- 2.建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)(laws.e-gov.go.jp)