選び方・比較

法人が解体工事を分離発注するか一括で任せるか|判断材料の整理

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

解体工事を建築工事と分けて契約するか、建築側の契約に含めて進めるかは、社内で工程を調整できるか、誰と契約するか、完了資料をどこから受け取るかで判断材料が変わります。どちらか一方が常に有利というものではありません。法人の発注者は、契約形態の名前だけで決めず、確認する資料と担当を先に整理します。

分離発注と一括契約で契約相手と確認資料を分ける解体工事の判断図
分離発注と一括契約で契約相手と確認資料を分ける解体工事の判断図

発注方法の違いを整理する

分離発注では、解体工事と他の建築工事について契約相手が分かれることがあります。一括で進める場合は、発注者が主契約の相手から工程や完了資料の説明を受ける形になります。名称だけで担当範囲を推測せず、契約書、工程表、範囲表に記載される相手と役割を照らします。

発注方法契約の相手工程を調整する担当発注者が確認する資料
解体工事を分ける解体工事の契約相手社内担当または契約ごとの調整担当解体範囲表、工程表、完了資料の受領先
建築工事に含める主契約の相手主契約側の調整担当解体範囲の位置付け、工程表、説明資料
条件が未確定契約前に確認する相手社内の判断者未確認事項、確認先、判断予定

契約の相手と工程の調整役を確認する

契約の相手は、発注者が工事条件や変更事項を確認する窓口になります。分離発注では、解体工事の範囲、他工事との引継ぎ条件、工程の接点を契約ごとに確認します。一括で進める場合も、解体工事の範囲が主契約のどの資料に記載されているかを確認します。

工程の調整役は、契約の相手と一致するとは限りません。仮囲いの設置時期、設備停止、搬出経路、次工程への引渡し条件など、複数の関係者に影響する項目は、誰が確認を集めるかを工程表に残します。発注者は、調整の連絡だけで判断を済ませず、変更を確認した日と資料を案件記録に残します。

契約相手と工程調整役を別欄に記録する解体工事の契約整理図
契約相手と工程調整役を別欄に記録する解体工事の契約整理図

社内で調整できる範囲を先に決める

分離発注を検討するときは、社内で確認できる範囲を明確にします。例えば、解体後に残す設備の判断、建物引渡しの条件、他工事との工程調整、完了資料の保管先は、社内の担当が決める場合があります。担当者が決まらない項目は、契約形態を選ぶ前に確認先と判断予定を置きます。

一括で進める場合も、社内の確認が不要になるわけではありません。発注者が確認する範囲、説明を受ける相手、決裁する時点を表にし、施工側や主契約側の確認事項と分けます。条件が変わる可能性がある項目を契約後に探し直さないために、当初の範囲表と工程表を保存します。

発注方法で変わること

発注方法が変わると、許可・登録を確認する相手、廃棄物に関する説明を受ける相手、工程調整の連絡先が変わります。制度上の義務者を契約形態だけで決めず、法令上の位置付けと契約書上の役割を分けて確認します。

解体業者の許可・登録を誰が確認するかが変わる

分離発注では、発注者が解体工事の契約相手について、許可または登録の確認先と確認日を記録します。一括で進める場合は、主契約側から解体工事を担う者について説明を受け、確認資料の受領先を明確にします。発注者は、個別の事業者の状態を記事上の評価で決めるのではなく、案件で確認した資料と確認日を残します。

建設リサイクル法では、解体工事業を営もうとする者の登録が定められています。一定の建設業許可を受けた者については登録に関する扱いが異なるため、発注者は制度名、確認先、工事を行う区域を分けて確認します。詳しい手続の整理は、解体工事の届出一覧と所管窓口で確認します。

許可や登録の確認先を契約相手ごとに整理する発注者の線画
許可や登録の確認先を契約相手ごとに整理する発注者の線画

廃棄物の排出事業者となる会社が変わる

解体工事に伴って生じる廃棄物については、廃棄物処理法第21条の3第1項により、元請業者が排出事業者として扱われます。発注形態によって、発注者が説明を受ける契約相手や完了資料の受領先が変わることがあるため、契約書の相手と工事の元請関係を同じ意味として扱いません。現行法の施行日は2026-07-01、改正公布日は2026-05-22、確認日は2026-09-05です。

発注者は、処理の実務を担う主体を自ら決めるのではなく、工事範囲、契約関係、受け取る資料を確認します。廃棄物に関する確認事項は、解体範囲とともに一覧にし、変更があれば説明を受けた日と確認先を更新します。廃棄物処理法の規定も確認先になります。

発注方法で変わらないこと

契約のまとめ方が異なっても、発注者が確認する資料や法定手続がなくなるわけではありません。手続の義務者、説明資料、完了時の照合条件を分け、着工前と完了時の双方で確認できる状態にします。

分別解体等の届出は発注者の手続のまま

建設リサイクル法第10条第1項の対象建設工事の届出は、発注者または自主施工者が行う手続です。対象となる場合は、工事に着手する日の前までに、提出先と必要事項を確認します。解体工事を分けたか、主契約に含めたかだけで届出の主体が変わるものではありません。

発注者は、届出の要否を工程表だけで判断せず、工事の内容、対象、所管窓口への確認を記録します。施工側から受ける説明と、発注者が確認する手続を別の行に置くと、契約形態が変わっても確認漏れを防ぎやすくなります。解体工事の届出一覧で、手続名、義務者、期限、提出先を確認できます。

契約形態を決める前に、解体工事の施工範囲を確認する方法で対象を整理します。法人が解体業者を選ぶ方法も参照し、比較に使う資料をそろえます。

発注者の届出確認と契約形態を分ける分別解体等の届出整理図
発注者の届出確認と契約形態を分ける分別解体等の届出整理図

完了資料の確認は発注者が行う

完了時には、当初の範囲表、変更した条件、受け取る予定にした資料を照らします。分離発注では契約ごとに資料を受け取る場合があり、一括で進める場合は主契約側から取りまとめて説明を受ける場合があります。いずれでも、発注者はどの条件と照合したか、受領した日、保管先を記録します。

契約の相手に資料を任せたままにせず、発注側の案件記録には、範囲変更、確認者、未確認事項の解消状況を残します。完了時の確認を着工後に初めて考えると、当初の判断と照らしにくくなります。着工前から受領資料の一覧を作ることが、契約形態にかかわらず必要です。

当初範囲と完了資料を照合して保管先を記録する解体工事の完了確認図
当初範囲と完了資料を照合して保管先を記録する解体工事の完了確認図

確認記録を引き継ぐ

確認内容を一覧にする

確認記録には、資料名だけでなく、どの対象と照らしたか、確認した日、確認先、判断を終えた担当を残します。資料を受け取った時点と内容を確認した時点が異なる場合は、二つの日を分け、確認に用いた資料の保管先と版も併記します。

対象が建物、設備、外構、地中などにまたがる場合は、範囲表のどの行を確認したかも記録します。確認済みという印だけで管理すると、何を根拠にしたか、どの資料が未確認かを後から確認しにくくなります。

変更時の経過を残す

対象や工程に変更があった場合は、変更前の記録を消さず、差分、変更日、影響する確認項目、確認先を追加します。説明を受けた日と社内で判断した日を分けておくと、施工側の確認事項と発注側の判断を混同せずに済みます。

契約上の相手、施工側の確認先、所管窓口、社内の判断者が異なる場合は、役割を同じ欄にまとめません。誰が実務を担うかと、発注者が資料を確認する範囲を区別し、未確認事項には判断予定を付けます。

完了時の照合につなぐ

担当者の交代時には、未確認事項、確認先、判断予定、資料の保管先を引き継ぎます。口頭の連絡だけに頼らず、範囲表、工程表、条件表のどの資料を更新したかを案件記録に残します。

完了時には、当初の条件、工事中の変更、受領資料を照らし、どの項目を確認したかを記録します。必要な判断が残るときは確定したように扱わず、確認先と次の確認時点を明記します。

まとめ

分離発注と一括の違いは、契約相手、工程を調整する担当、受け取る資料の確認方法に現れます。発注前の進め方、解体工事の届出一覧、記事一覧を参照し、契約形態ごとの確認事項を案件記録に整理してください。

よくある質問

Q. 分離発注と一括のどちらを選べばよいですか
社内で調整できる工程、契約の相手、解体範囲の確認方法、完了資料の受領先を並べて判断します。いずれかを一律に選ぶのではなく、未確認事項がある場合は確認先と判断予定を残し、案件の条件に合わせて決めます。
Q. 分離発注でも発注者が確認する届出はありますか
対象建設工事の届出は、建設リサイクル法第10条第1項により発注者または自主施工者が行う手続です。発注方法だけで主体を決めず、工事内容と所管窓口の案内を確認し、手続名、期限、提出先を案件記録に残します。
Q. 完了資料は誰から受け取りますか
契約形態によって受領する相手が異なることがあります。契約書と工程表で受領先を確認し、発注者側では当初の範囲、変更内容、照合した日、保管先を記録します。資料の名称だけでなく、何と照らすかを着工前に決めます。

出典

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