解体工事の着工前スケジュール|発注者が確認する準備の順番
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
着工前の準備は、施工日までの空いた期間を埋める作業ではありません。資料と範囲を整理し、調査結果の説明を確認し、手続の主体と期限を確認し、周辺への対応計画を見て、着工可否を判断する順番があります。発注者は、工事が始まった後の完了確認までを一つの記事で扱うのではなく、着工までに終える準備を案件記録へ並べます。

着工前に確認する全体像
着工前の予定表には、施工側の工程と、発注側が確認を終える時点を両方置きます。資料があるか、調査結果を受け取ったか、届出の確認が済んだか、周辺への対応計画を確認したかを、着工日の前に見直せる形にします。項目ごとに確認先と未確認時の対応を残すことで、準備の進行を共有できます。
| 着工前の段階 | 確認資料 | 主体 | 未確認時の対応 |
|---|---|---|---|
| 資料と範囲 | 図面、現況記録、範囲表 | 発注側の担当者 | 差分と確認先を記録する |
| 調査の確認 | 結果、説明を受けた記録 | 発注者と施工側 | 結果を確認する日を置く |
| 手続の確認 | 手続名、義務者、期限、提出先 | 制度ごとの義務者 | 所管窓口と施工側へ確認する |
| 周辺対応 | 工程、連絡先、確認事項 | 発注者と施工側の確認先 | 変更時の確認先を共有する |
| 着工判断 | 未確認事項の一覧 | 社内の判断者 | 判断期限を更新する |
資料と範囲を整理する
資料整理では、図面、施設情報、設備台帳、現況写真、過去の調査資料を集め、建物、設備、外構、地中、残す対象を分けます。資料が古いときや、図面と現況が違うときは、差分を確認するための情報として残します。撤去する対象だけでなく、存置する設備、利用を続ける配管、確認中の対象を範囲表に置きます。
着工前に判断が終わっていない項目は、対象外と決めず、確認先と判断予定を記録します。例えば、基礎コンクリートや杭の扱い、残置物の搬出時期、設備の停止時期は、別の担当者が判断することがあります。範囲の記録と社内の判断を結び、着工前に必要な確認が残っているかを見ます。

調査結果の説明を確認する
石綿に関する調査や土地に関する確認は、着工前の資料確認に含めます。石綿と土壌は対象と資料が異なるため、結果を同じ欄にまとめません。発注者は、石綿について施工側から説明を受ける日、土地について所管窓口や専門家へ確認する事項、結果が工事範囲や予定に影響する可能性を記録します。
大気汚染防止法第18条の15第1項では、解体等工事の元請業者が事前調査を行い、発注者へ書面を交付して説明することが定められています。現行版の施行日と改正公布日は2026-07-01、確認日は2026-09-05です。e-Govの大気汚染防止法で確認できます。発注側では、説明を受けた記録と、結果を着工判断へ反映した記録を分けます。
手続と周辺対応を確認する
手続と周辺対応は、着工前に同時に確認する項目ですが、制度上の義務者と連絡先が同じとは限りません。発注者は、手続名、義務者、期限、提出先を分け、周辺への対応では工程、確認先、変更時の連絡先を記録します。制度の主体を周辺対応の窓口と混同しないことが重要です。
届出の主体と期限を分ける
建設リサイクル法の対象建設工事の届出は、発注者または自主施工者が工事に着手する日の7日前までに都道府県知事へ届け出る手続です。根拠は同法第10条第1項で、現行法施行日は2025-06-01、改正公布日は2022-06-17、確認日は2026-09-05です。e-Govの建設リサイクル法で確認できます。
届出対象特定工事の届出は、発注者または自主施工者が作業開始日の14日前までに都道府県知事へ行います。一方、事前調査と書面説明は元請業者が行う事項です。手続の対象を予定表だけで決めず、工事内容、調査結果、所管窓口への確認を記録します。解体工事の届出一覧を使い、手続名、義務者、期限、提出先の四つを同じ行で確認します。

周辺への対応計画を確認する
周辺への対応では、工事の予定、出入口や搬出経路、問い合わせがあったときの確認先、工程変更時の連絡先を整理します。発注者は、施工側が確認する事項と、社内で確認する事項を分けます。周辺に接する構造物、仮囲いの鋼板パネルを設置する位置、作業日程に関わる条件などを、工事範囲と工程表で照らします。
騒音・振動に関する特定建設作業の届出は、指定地域内で工事を施工しようとする者が行う制度です。対象地域かどうかは施工場所の自治体で確認します。発注者は、届出を自ら行うかを予定表だけで決めず、施工側が確認する手続と、周辺への対応計画を別の欄に置きます。工程が変わるときは、確認先と記録を見直します。
着工判断を記録する
着工判断では、すべての項目が完全に同じ状態になっていることを確認するのではなく、未確認事項がどこにあり、誰がいつ判断するかを明確にします。条件の変更があれば、範囲、調査、手続、周辺対応のどの項目に影響するかを記録します。着工日の直前に資料を探し直さないための確認です。
未確認事項を残したままにしない
未確認事項には、資料が不足している、現地で差分が見つかった、社内の判断を待っている、所管窓口へ確認する必要があるなどの理由があります。理由だけではなく、確認先、確認予定日、工事への影響を残します。着工前に解決する項目と、条件として共有して判断する項目を分けると、関係者が同じ状態を確認できます。
未確認事項を記録することは、着工を遅らせるためのものではありません。発注側の判断に必要な情報を可視化し、必要な担当へ確認を渡すためのものです。判断が終わったときは、確認日と決定内容を更新し、範囲表や工程表と照らします。
着工前の準備は、法人が解体工事を発注する流れで全体の順番を確認できます。解体工事の工期を発注者が確認する方法と合わせ、判断が必要な日を工程表へ置きます。

完了時の確認資料も先に決める
着工前の記録には、工事後に受け取る資料と保管先も加えます。完了時の確認を着工後に考えると、発注時の範囲、変更した条件、説明を受けた資料を照らしにくくなります。受領する担当と照合する条件を決めておけば、着工前の条件が完了時の記録へつながります。
資料の名称だけでなく、どの条件と照らすか、どこに保管するかを記録します。範囲変更があったときは、当初の条件と変更を確認した日も残します。着工前の準備を整えることは、工事後の確認を容易にするための基盤にもなります。

確認記録を引き継ぐ
確認内容を一覧にする
確認記録には、資料名だけでなく、どの対象と照らしたか、確認した日、確認先、判断を終えた担当を残します。資料を受け取った時点と内容を確認した時点が異なる場合は、二つの日を分け、確認に用いた資料の保管先と版も併記します。
対象が建物、設備、外構、地中などにまたがる場合は、範囲表のどの行を確認したかも記録します。確認済みという印だけで管理すると、何を根拠にしたか、どの資料が未確認かを後から確認しにくくなります。
変更時の経過を残す
対象や工程に変更があった場合は、変更前の記録を消さず、差分、変更日、影響する確認項目、確認先を追加します。説明を受けた日と社内で判断した日を分けておくと、施工側の確認事項と発注側の判断を混同せずに済みます。
契約上の相手、施工側の確認先、所管窓口、社内の判断者が異なる場合は、役割を同じ欄にまとめません。誰が実務を担うかと、発注者が資料を確認する範囲を区別し、未確認事項には判断予定を付けます。
完了時の照合につなぐ
担当者の交代時には、未確認事項、確認先、判断予定、資料の保管先を引き継ぎます。口頭の連絡だけに頼らず、範囲表、工程表、条件表のどの資料を更新したかを案件記録に残します。
完了時には、当初の条件、工事中の変更、受領資料を照らし、どの項目を確認したかを記録します。必要な判断が残るときは確定したように扱わず、確認先と次の確認時点を明記します。
まとめ
着工前は、資料と範囲、調査結果、手続、周辺対応、着工可否を順に確認し、未確認事項にも確認先と判断予定を付けます。記事一覧、発注前の進め方、解体工事の届出一覧を確認し、着工までに終える準備を案件記録へ並べてください。
よくある質問
- Q. 着工前の準備は何日必要ですか
- 必要な日数は、工事範囲、資料の状況、調査結果の確認、手続の対象、社内の判断期限によって変わります。日数だけを先に決めず、引渡し希望日から確認項目を並べ、誰がいつ判断するかを記録します。手続の対象は所管窓口や施工側へ確認します。
- Q. 誰が届出を確認しますか
- 制度ごとに義務者が異なります。建設リサイクル法の届出は発注者または自主施工者、届出対象特定工事の届出も発注者または自主施工者、事前調査と書面説明は元請業者が行います。手続名、義務者、期限、提出先を分け、発注側では確認した日を案件記録に残します。
- Q. 周辺への説明はいつ確認しますか
- 着工判断の前に、工程、搬出経路、周辺に接する条件、問い合わせ時の確認先を確認します。法定の届出と周辺への対応計画は別の項目です。工程変更が生じるときは、変更内容と連絡先を見直し、発注側と施工側の確認事項を分けて記録します。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)(laws.e-gov.go.jp)
- 2.大気汚染防止法(laws.e-gov.go.jp)
- 3.騒音規制法(laws.e-gov.go.jp)